コーヒーを飲むとき、当たり前ですがその人の好みが出ますよね。
- 砂糖をたくさん入れて甘くしたい人
- 砂糖を入れなくてもミルクを入れてマイルドにしたい人
- ブラックコーヒーで苦味や酸味を堪能したい人
などなど。
小説を読むときも同じようなことが言えると思うんです。
心温まる要素を求めたり、重くのしかかるハードな題材を希望したりとか。
自分は重い内容があまり得意ではなく、読後感も心地よいものが好みなので、なるべくドンパチものではないものを選んでいます。
そんな中、今回手に取った本で惹かれたのは探偵物ということ、人探しをしていく過程などに興味がある、内容も切ったはったなど刺激が大きいものではないものとして好みに合いそうだなと購入しました。
読み終えてまず印象に残っているのが、その読後感です。
まるで濃いコーヒーを飲んだような、ほろ苦く、なんとも言えない余韻を味わいました。
普段から苦味の少ない題材を好んで読んでるせいで、より一層苦味の余韻を感じているだけかもしれません。
普段からコーヒーを飲み慣れてる人から「こんなのたいした苦味じゃないよ」と言われることと同じことが言えるかもしれませんが、自分にとってなかなか新鮮な苦味でその魅力を垣間見ることができました。
自分にとっての作品の魅力
主人公で探偵である磯貝がある失踪人をさがしていくのが物語の根幹なのですが、この主人公と一緒になってさまざまな人物や場所を渡り歩いていく描写が個人的に好きです。
そこが魅力で、そこを読みたくて買ったまであるくらいですからね。
人によってはデメリットになるえる部分
失踪人については完璧に痕跡を消してるため、なかなか手掛かりがつかめず、大きな変化がないままそれなりの分量を読まされるので人によってはダルく感じる所もあるかもしれません。
自分は登場人物と一緒に旅をしている気分になれるし、探偵の行動や描写そのものが好きで楽しんで読めましたが、物語から刺激を得ようと結末ありきで読む人からしたら道中少しフラストレーションがたまるかも。
ただ、結末に向けて動き出す中盤からはさらに読む熱量が上がり、そこからは一気に読み終えてしまいました。
結構な文量ですから、読み終えたその疲労感もあいまって、読後感のほろ苦さという余韻をより堪能できたんだと思います。
ほろ苦さというフレーズ
読み終えてふと表紙の帯に「北海道が舞台のほろ苦い探偵小説」というフレーズがあることに気づきました。
たしかに読後感は結構なビターでした。
ただそれほどわるくないというか、普段飲み慣れないコーヒーをおいしく感じれたような心地よい魅力も感じました。
普段から重い内容の作品を嗜んでいる人からしたら軽すぎる苦味だと一蹴されそうですが、自分のような普段から日常系やお仕事系など軽い題材、冒頭のコーヒーで例えるとミルクをたっぷり入れるような人におすすめしたいです。
これまでおいしく感じれなかったコーヒーの苦味、物語のほろ苦さの魅力を感じるきっかけになるかも。
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